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Self Liner Notes『反面教師』

2013.04.24


無論、受け取り方は、受け取る側の自由。
だけども、まずは聴いてみたい、
と感じてもらうことが重要で。
そのキッカケの一つになってくれたらと思う。

今作のキャッチフレーズは、
「痛みから学べるように/苦みすら笑えるように」
“苦しみ”ではなく、“苦(にが)み”なのがポイント。

01. Warm Up
ギブスを外せた後や、
正座を崩せた後のように、
心の回復期にも、
不具合は付きもの。
打ちのめされ、
再び立ち上がろうとする時、
その“過程”を暖かく見守ろうとする視点が、
ここにある。
深呼吸のようなコーラスも入れ、
その名の通り、
準備運動的な存在として、1曲目に配置。

02. George George
照れ隠しに“常時・情事”を
“ジョージ”と記してはいるものの、
かなり赤裸々、綺麗事ゼロ、
ある意味、究極の求愛ソング。
リズミカルな歌詞とRock’n’Rollが、
絶妙にマッチしている。
(この曲のみ、配信でもリリース)

03. 夜を行く性
けだるい声とjazzyなサウンドに
乗せて歌われるは、
打算的女子の、愛と見せかけたエゴ、
そこにある本音。
それは、闇でこそ冴える一面。
逞しさは時に、恐ろしい。
こんな恋は、報われてくれるな。
心からそう思う。

04. 惚れ込め詐欺
恋をすると、バカになる。
バカになれてこそ、恋かもしれない。
“振り込め詐欺”ならぬ“惚れ込め詐欺”に
まんまと引っかかった者の憂鬱を、
どBluesに乗せて放出。
02.と03.の主人公の末路とも言える
その姿は、まさに反面教師。

05. decade
10年間。最高の喜びは、
最強の切なさへと変わったけれど、
本気で誰かに恋い焦がれた日々、
その心を憎みたくはない。
そういった思いから生まれた、
レクイエム的なナンバー。
自作のラフ音源を尊重してもらった
シンプルなアレンジが、
涙で震えながらの生々しい歌唱を
引き立てている。

06. EMPTY
ふと、心が電池切れ、
燃料切れを起こす時もある。
<run on empty>
=上手く行かない、低空飛行のままだ。
でも、空しさに満たされた時にだけ
見える物事だって、ある。
異次元に連れて行かれるようなイントロ、
何かが沸き立って来るようなエンディング。

07. それだけは確か
狭い世界(個人)のことを深く掘り下げて行くと、
それは広い世界(社会)のことと通じていたりする。
2008年に書いた歌詞だが、
3.11以降に向き合ってみると、
“キミ”は“自然”を指しているようにも受け取れる。
この曲のアレンジは、あえてJimisen氏に丸投げ。
これまでの自身の曲にないアプローチが新鮮。

08. LAPDOG
小さな愛玩犬、心酔者、
他人の言いなりになっている人、
手なずけられている人、太鼓持ち、
などを意味するタイトル。
私にしては珍しく、
明るい雰囲気のサビメロが印象的。
LIVEで披露する際には、
音楽ナシには生きられぬ
自分の姿を歌っているような感覚になる。

09. 晩冬
もうすぐ春、そう言い聞かせても、
冬は寒い、寒さは辛い。
そんな中、自分の胸の奥にある
燃えるような気持ち、
身近な人の温もりというのは、
ありがたみを増して映る。
名前も顔も忘れられてかまわない、
何か1フレーズでも、
誰かに覚えておいてもらえたらいいな、
と、よく思う。

10. ヒートアイランド
2002年に生まれながら、
今の唄声でこそ映えるメロと曲構成。
ほぼ当時のままの歌詞は、
混沌の中にいるような内容で、
正直、よく解らない。
ただ、生きたさだけは伝わってくる。
Jimisen氏との相性も抜群で、
レコーディング中、
音楽を続けてきて良かった、と、
しみじみ感じさせてくれた曲でもある。

11. @frustration
悲しみや怒り、いざこざの大半は、
各々の欲求不満(フラストレーション)から生じる。
それを自覚するだけでも、
一歩前進なんじゃなかろうか。
詩(うた)を紡ぐ際、
なるべく欠かさないようにしている
遊び心と真心が、
はち切れんばかりに詰まった曲。

12. 在りし日
数年前に亡くなった愛猫の、
丸1年の介護生活。
それをゆっくり振り返りながら書き上げた曲。
生まれてきた以上、
死にゆくことは避けられない。
感情もまた、生命体。
“苦痛”にだって、私は言いたい。
生まれてくれて、ありがとう、
会えて良かった、と。