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Self Liner Notes『脱獄囚/ライフライン』

2021.03.31


コロナ禍の今だからこそ形にできた2曲(2極)。
お力添えくださった皆さんのおかげで、
言葉だけでは表現しきれない精神世界を
“音楽”に昇華できた、
という手応えも、過去最高にあり。
沢山の人に聴いてもらいたいし、
ダウンロードしてもらえたら嬉しい。

配信先一覧

以下、今作のセルフライナーノーツ。

「脱獄囚」は、ALBUM『課外授業』を
リリースした頃 (心療内科に通い
向精神薬漬けになった2006年) に生まれた曲で、
「胼胝」や「その兆候」という曲の
アレンジ過程で出会った“ドロップD”の響きに
触発されてできた曲でもある。
そこでこれくらい毒を吐けたからこそ、
同年に「音信」という柔らかな印象の曲も
生み出せたのかもしれない。

当初この曲にまとわせようとしていたのは、
ゴリゴリの、ともすれば野暮ったい
ロック・サウンドだった。
でも、昨年2月のライヴで、
西田けんたろうさんのViolinも加わった
アコースティック編成で演ってみたら、
別の姿が見えてきて。これは絶対、
このメンバーと形にすべき曲だ、と確信。

コロナ禍 真っ只中、全部リモート録音で
どこまでのものができるか、
に再挑戦することにもなったわけだけど、
メンバーそれぞれ誰も立ち会わず、
“自分vs自分”という沼のほとりで、
1人ずつ音を重ねて行ったのに、
そうは思えないテンションとグルーヴ。
疾走感とスリルを併せ持った、
まさに「脱獄囚」と言える音になった。

オノレの傷とばかり向き合い、
オノレの罪と向き合おうとしない自分、
を俯瞰してるもう一人の自分、
みたいな視点で書かれてる歌詞だけど、
コントロールしきれないことにもがいてる様、
そのムシャクシャ感は、現代にも重なり。
一語一句に念を込めることもできた。
(歌い出しの潰れたような声も加工ではなく地声)

「ライフライン」は、震災後の2012年、
自らの存在価値を見失いがちだった時期に生まれ、
ALBUM『反面教師』への
収録候補に挙がりながらも、
これは全く違うアプローチで録りたい、
という思いから外させてもらった曲。
去年 弾き語りで初披露した中で
最も好評だっただけあって、
メロディアスかつ普遍的。

「脱獄囚」が逃げ回ってる最中だとしたら、
「ライフライン」はもう
疲れきって倒れた後みたいな
(でもまだ立ち上がりたい)感じ。
“サヨナラをしなくちゃ”という言葉が
2回出てくるけど、1回目と2回目では、
だいぶ意味合いが変わる。
もっと歌唱力のある
他の人に歌ってもらいたくなるくらい、
大衆性を持ってる曲だと思う。

演奏陣の皆さんが、
両曲(両極)のポテンシャルを最大限に引き出す
素晴らしい働きをしてくれているので、
細部の音まで味わっていただけるよう、
今作はinstrumental(カラオケ音源)も配信。
特に「脱獄囚」は、
ハイレゾ爆音で体感してもらいたい。